当社のよくある質問についてブログにてご紹介しております。
今回は、「アルマイト膜厚」についてです。
アルミは鉄の約1/3程度の重さであり、他の金属成分を添加して強度を上げる事で様々な特性を付与する事ができます。アルミの表面処理としては、アルマイトが最もポピュラーな処理ではないでしょうか。当社ではアルミの無電解ニッケルめっきやクロムめっき(硬質、装飾)の引き合いも多く、今後も多岐に渡って活用される材料であると思います。
今回の質問は以下の通りです。
Q.アルマイトの膜厚(加工前後の寸法精度)について教えてください。
A.アルマイトの膜厚は5μmを狙ったとしても、径で0.01㎜増加するわけではございません。アルマイトは素材側に含侵する部分と外側に成長する皮膜がございます。関連して硬質アルマイトの高精度品で加工前寸法をどうしたらいいか問われる事もあります。こちらについては様々やりようありますが、事前に試作するか/ある程度狙いで硬質アルマイトを行い後から追加工で寸法を出すといった方法もございます。
補足として・・・、
当社ではアルマイトの膜厚測定は渦電流式の膜厚計で行いますが、これは「含侵している部分と外側に成長している部分」を合わせた数値となります。公差がある場所をマイクロメータで測定する場合は、「外側に成長している部分」のみが測定されます。
文献では普通アルマイトでは膜厚(渦電流)の1/3程度が径で増加する分、硬質アルマイトでは膜厚(渦電流)の1/2程度が径で増加すると言われております。
・・・、なかなか難解でチンプンカンプンです。よく分からない事は検証するようにしています。
<5052硬質アルマイト試作結果>※膜厚は50~100μm、他条件についてはお問合せ下さい。
①外径よりも内径はアルマイト皮膜が薄い(外径のアルマイト皮膜のー10%程度か)
②膜厚のバラつき⇒治具の下の分布製品膜厚が厚い(中心より下の部分がMAX)
③文献通り硬質アルマイト皮膜の実寸について膜厚の1/2 増加した。
(普通アルマイト“浴温 20℃、電圧は一定”は1/3 増加すると言われている。)
寸法精度については、材質/材質形状が大きく関与しますので必ずご提示ください。
アルマイト処理後の不具合により剥離再処理をする場合は使用できなくなる恐れがあります。
再処理については穴部をマスキングして対応したりと打ち合わせが必要となります。
めっきもアルマイトも各社それぞれのノウハウや特色があります。試作依頼についても随時お引き受けしますのでご不明な点はお気軽にお問合せ下さい。
以上、当社のよくある質問④「アルマイト膜厚」についてでした。