防錆のメカニズム

金属を取り扱う上で永遠の課題ともなるのが「錆」でございます。錆は「金属」と「水」と「酸素」があれば容易に発生します。

アルミやステンレスなどは錆ないと思われがちですが、実は錆にくいだけです。

錆の種類も「白錆」「赤錆」「緑青」など様々あり白錆は両性金属(酸、アルカリに溶解する)に発生します。アルミや亜鉛などです。

赤錆は皆さんが錆と認識しているもので鉄由来の金属に発生します。緑青はあまり馴染みがありませんが銅由来の金属に発生します。

世の中にめっき種類は多くありますが、どのめっき種もある程度の防錆力は見込まれているものと思います。

この防錆の考え方ですが、めっきによってそのメカニズムが違います。例として、鉄の防錆めっきとしての代表格は亜鉛めっきになります。

亜鉛めっきは資源も豊富(資源が少ない日本でも亜鉛はとれます)で安価に量産する事が可能なので、ホームセンターで見るナットやネジの多くがこのめっきが採用されています。(月産~万単位の量産の多くはバレル方式です。量産に適していますが、キズ擦り傷が発生するため多少コスト高になってもラック方式を採用される企業様も多いです。バレル方式やラック方式はめっきの手法になります。)

 

この亜鉛めっきについてですが・・・、

よく屋外で使用されるボルトやアングルに亜鉛めっきが採用されていますが、白く錆びている事があります。

一見亜鉛めっきが白く錆て外観を損なっているように見えますが、実は母材である鉄を表層の亜鉛めっきが先に錆びる事で赤錆の発生を遅らせているのです。

このことにより、ボルトやアングルの強度が保たれるため、自動販売機やエコキュートがしっかり固定され私たちの安全性確保に繋がるのです。

 

この亜鉛が先に錆びて鉄を守る防錆方法を「犠牲防食」と言います。

この自己犠牲心溢れるめっきの防錆メカニズムを同業の友人は「まるでサムライのようだ」と紹介していました。

その通りかと思います。(めっきの特性を擬人化すると面白いかもしれませんね。)

 

亜鉛めっきは、耐食性を上げるためにクロメート処理(六価クロム由来の後処理)、3価クロム化成処理をする事が一般的です。

最近では、亜鉛めっきにNi等を含有させて合金めっきとする事で二次加工性を良くしたり更に防錆力をアップしためっきもございます。

以前までは、亜鉛めっきに装飾性はあまり求められず、装飾性と耐食性(防錆力)を求めるのであればニッケルクロムめっきが一般的でありました。

昨今、亜鉛めっきにおいて装飾性を求めるものが増えてきたと感じております。

亜鉛めっきは後処理によって色彩を豊かに変化させる事ができます。「黒」「虹」「白」「青」など薬品の浸漬時間によって濃淡を変える事もできます。

 

当社には、亜鉛めっきを含め多くのめっき品目をラインナップしております。今回は、亜鉛めっきの防錆についてお話しましたが、めっき手法(無電解法、電解法)においても得られる特性が違います。また、下地めっきの選択なども品質に大きく関わるものです。

 

試作や見積もり時においては、顧客用途に応じた適切なめっきをご提案できるようにしたいものです。